第2章 私に出来ること (ウォーターセブン編)
『はぁ〜。』
私はため息を吐きながら、街並みを眺める。
私の創造(クリエイト)を使えば船を作ることはできる。
しかし、知識が無い為に機能の部分は創造出来ない。
だから、機能を必要としない小舟の創造が限界なのだ。
あぁ、これは詰んでる。
『はぁ・・・。』
成すすべのなさに、私は街を眺めながら再びため息を吐いた。
それにしても、この街のような景色は見たことがない。
殆どの人の交通手段が、よく分からない生き物で水の上を走るというもの。家も水の上に浮かび、街並みも同じ色で統一されているようで綺麗だ。
私の頭の中にワッとインスピレーションが湧いた。
この風景を描きたい。
私はリュックの中に手を突っ込み目当てのものを探る。
『ん・・・あれ?』
いくら探しても目当ての物がない。
目当ての物とは「スケッチブック」だ。
私はそれに常々描きたいと思った風景を描き起こし、それを空いている時間にキャンバスに描く。そして、売れればそれを売る。
言わば、私の命の商売道具ということだ。
それを、私は、失くしたの・・・?
『どこだ、一体どこにやったんだ。』
精一杯、思考を巡らせる。
最後に見た場所は・・・そうだ、絵を描いている時にルフィが船大工を描く為に貸して・・・それか!!!
ルフィが島が見えたことに興奮して船のどこかに置いたままにしていたのだ。
くそー!借りたものぐらい返せよー!
と、憤慨しつつも私自身も興奮していてスッカリ忘れていたわけで、人のせいにばっかりしているのはお門違いか。
今日はもしかして厄日なのではないか、と感じつつも名残惜しく別れた船に出戻った。