第6章 海の上での賑やかな日々
いつも通りみんなが楽しそうにしているのを横目に、私は黙々と染料作りに取り掛かっていた。
「臭ェ。」
横でボソリとゾロが呟いた。
『ゾロ、起きたんだ。』
今日は船外で寝る日と決めたのか、ゾロは食事を終えた後に私の近くに来て腕を組んで寝始めた。
それからぐっすりと寝ていて、起きてから開口一番に言った言葉がそれだった。染料が臭いのは当たり前だけれど。
「何作ってんだ、臭すぎて寝られやしねェ。」
『新しい染料を作ってるの、部屋の中に臭いがこもるより外の方がいいでしょ?』
そもそも、さっきまで貴方ぐっすり寝てましたけどね。
イビキまでかいてましたけどね。
「外でも臭ェ。」
『じゃあ、あっちで寝てよ!!』
わざわざ私の近くで寝なければ良いのに、と私は頬を膨らませながらご立腹モードに入る。
「・・・ここが落ち着くんだよ、俺は寝る。」
ゾロはそう呟いて再び夢の世界へ入っていった。
なんなんだ一体、私に文句を言いたかっただけなのか。
「クレアちゃ〜ん!!良かったら休憩にデザートでも。」
サンジが華麗に私のところへ来て、私にデザートを差し出してくる。
『もうすぐ終わるからまた後で貰うよ。』
「クレア要らねェのか?じゃあ俺が貰お。」
私が断りを入れると、横からルフィが手を伸ばしてそれを取っていった。
「おい!テメェのために作ってんじゃねェぞ!!」
サンジがすかさずそれに対して怒りの声を上げ、ルフィの方へズンズンと向かって行った。
「クレアさん、お顔が凄いことになってますよ、ヨホホホ!」
ブルックがそう言いながら私にハンカチと鏡を差し出してくる。
鏡を覗き込むと見事に頰に染料が付いていた。
『あぁ、さっき頰触っちゃったからかな・・・ありがとう、ブルック。』
私はハンカチでゴシゴシと顔を拭って、再び染料作りに取り掛かる。
あと少しで完成だ。