第6章 海の上での賑やかな日々
海の上での生活は数日経過して、様々なことが起こる海に大分慣れてきていた。
「あー、早く魚人島につかねェかな〜。」
ルフィがワクワクしながら朝食にがっついている。
ルフィは毎日同じことを言っていて、どれだけ楽しみにしているかが伝わってくる。
『人魚を被写体に出来たら、さぞ美しい人物画が書けそうだなぁ。』
まぁ、私は人物画はあまり得意ではないのだけれど。
それでもワクワクして仕方がない。
今日はいつもとは違い、真っ先に食べ終えてテーブルを後にする。
スリラーバークで手に入れた花「アオズイショウ」で絵の具を製作するのだ。これを作ればわざわざ原料を手に入れなくても創造で作ることができる。
ただ、絵の具の製作は汚れるし臭いもあるので外で行おうと思いその準備に取り掛かるために、今日は素早くご飯を食べた。
本当はもっと味わいたかったのだけれど。
「それが、スリラーバークで見つけた花?」
私が準備を終えて作業に取り掛かろうとすると、ロビンが声をかけてきた。
『うん、“アオズイショウ”っていう花なんだ。特定の地域と厳しい条件下のもとでしか咲かないと言われてるんだよ。』
「私も色々な場所を訪れていたけれど、一度も見たことはなかったわ。世界には、まだまだ私たちの知らないものがたくさんあるのね。」
そう言ってロビンが私に本を見せてきた。
『・・・これは?』
「知っているかもしれないと思ったけど、“翠藻(ミドリモ)”という海藻類で珍しい染料の材料だと言われているわ。」
『聞いたこと、あるかもしれない。」
叔父さんが、昔にそれを原材料とした絵の具を手に入れられなくなって困っていたことがあった気がする。
「魚人島にしか生えない特殊な海藻類で、十数年前から滅多に市場では出回らなくなったものよ。貴方の絵の助けになれば良いと思って。」
私の絵に対するロビンの善意がとても嬉しかった。
『ありがとう、ロビン。』
私が感謝を述べると、ロビンはニコリと笑ってその場を後にした。
誰かが応援してくれる、それだけでやる気に満ちてくる。
新しい染料があれば今まで再現出来なかった景色も色も描けるかもしれない。
ただ魚人島に対しての期待だけでなく、そんなワクワク感も胸に抱いた。