第6章 海の上での賑やかな日々
海ダヌキ騒動の後、私は外で絵を描いていた。
今度は昨日の"飴玉の雨"のことと海ダヌキについてだ。
あぁ、日々描きたいことが増えていくばっかりで全然書ききることが出来ない。
本当ならもっと船の上のみんなの様子だって描きたいけれど、私の腕は残念ながら二本のみ・・・そして利き腕は右、一度に一枚しか絵が描けない。
いつものようにダイニングでは書かないのは、画材の匂いが出てしまう絵の具で色を塗っているためだ。
一味の全員が外に出ているため、賑やかで楽しい気分になる。
先程までサンジの昼食を食べていて、お腹も満たされているし、どんな天気にだって負けないくらいの元気さがみんなにある。
『あ、無くなった。』
背景が海ばかりのせいで青色の消費が激しい。
私は、画材道具を取りに船内に入る。
『青色、青色〜っと・・・あった!』
私は青の絵の具を手に取って、それからフッと顔を上げる。
そこにあるのは叔父さんの名画『幽霊船』
ブルックがしっかりとその絵を安全なところに置いておいてくれたおかげで無傷だった。
私は身体が動かないので、みんながその絵を運び込んで飾ってくれたのだ。
叔父さんの絵はいつ見ても素晴らしい。
こんな絵を私も描けるようになるのだろうか、アーティルスの血縁だという事実が正直なところ私を苦しめる時がある。
着いた街で絵を出展しても1枚も売れないこともあるし、昔はくだらない絵だと言われたことさえある。
それでもずっと描き続けたのは、叔父さんの気持ちを理解したかったからなのかもしれない。そしてそれがいつの日か、私にとっての楽しさになっていた。
そんなものなのだろうか。
私が絵の具を持って戻ると、みんなが集まって何かを見ていた。
「丸虹!!」
ルフィがそう叫んでいた。
私がそっちを見ると、丸い虹がそこにあった。
「うおー!」
「綺麗!」
全員がその光景を目を輝かせてみている。
こんな綺麗な光景まで見れるのか、凄いな「偉大なる航路」
「これ描いてくれよ〜!クレア!」
チョッパーが目を輝かせながら私に言う。
『うん、チョッパーが言うなら全力で描いちゃうよ!』
私はすぐにもその光景を描く準備を始めた。
こういうことも私がこの船に乗っている意義なのかもしれない。