第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
『叔父さん』
【おー、やっと起きたか!よく寝てたな。】
最近、良く叔父さんとの夢を見る。
私が叔父さんに会いたいと思っているからだろうか。
いや、だったらもっと前から夢に出てきても良いはずだ。
『叔父さん、私にもね、仲間が出来たよ。』
私がそう告げると、叔父さんは絵を描く手を止めこちらを見て優しい笑みを浮かべる。
【そりゃあ・・・良かったな。】
そう言って再びキャンバスを見る。
【俺はそろそろお役御免か。】
寂しそうに一言呟く叔父さんに、私はベッドから飛び起きて側に近づいた。
『これは、私の夢なんだから!夢でくらい貴方に会わせてよ!』
【そうだなぁ、これは夢だ。】
叔父さんはニッと笑うと私の頭を優しく撫でた。
昔もこうして叔父さんに撫でてもらうと心が落ち着いた。
本当にこれは夢?
そうだと感じないほどに感触がリアルで・・・叔父さんが夢を通して私に会いに来てくれてる、そんな風に思っても良い?
【だけどな、俺はずっとリノスとお前の側にいるぞ。】
『・・・え?』
叔父さんは私の胸をトントンと指で叩く。
【お前らが俺を忘れない限り、俺はずっとここにいる。】
私は自分の胸に手を当てる。
心に、いる。
だけれど私は、現実で叔父さんと会いたいんだ。
それは、もう叶わない夢だけれど・・・貴方がまだ生きていたら私とリノスは今も幸せな人生を送っていた筈だ。
【お前とリノスは、俺という存在を乗り越えて前に進まなければいけねェんだ。】
『わかってる、だから"大海賊"を見つけてみせる。私の夢を笑わない・・・応援してくれる仲間に出会えたから。』
私が決意を胸に叔父さんを見ると、叔父さんはガハハと笑った。
【良い顔になったな!クレア!】
私は夢だとわかっていても、叔父さんに褒めてもらえたことに笑みを浮かべる。
【あと、エリシエンを救ってくれてありがとうな。】
ガタリ、と叔父さんは立ち上がり私の肩に手を置く。
そして扉に向かって歩き出した。
『叔父さん、どこ行くの!?』
叔父さんは私の問いに答えない。
そのまま扉を開け、その先の闇に消えていく。
バタンと扉が閉まった。
『待って!叔父さん!!』
私は追いかけようと扉を開けた瞬間、扉の先の光に呑まれた。