第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
衝動的に身体が動き出していた。
ゾロに駆け寄り、ギュッと抱きついてしまう。
『そんな難しいこと考えてない!仲間だとか・・・それ以上にただ私はゾロだからいなくならないで欲しいの、私の側にいて欲しいの!!』
私は思っていること全てを口にする。
『今日、何回も何回も仲間がいなくなるかもって不安になった。貴方は覚悟があるかもしれないけれど、残される私は・・・私は。』
私が言葉を紡ぐと、ゾロは私をギュッと抱き締め返してくれる。
ただ何も言わずに力強く抱きしめられる。
私を安心させるためなのか反射的なものかわからないけれど、ただひしひしとゾロから伝わるものはあった。
私はきっと彼を信じて見守るしかないのだ。
それからゾロは私から離れて再び肉球のオーラに向き合う。
「他の場所に行けねェのか。」
私はゾロにそう言われて、ゾロの背後にある木に隠れてゾロから背を向けた。
『見ないから、ここに居させて・・・お願い。』
きっと苦しんでる姿を見て欲しくはないだろう。
だから、目を背けて・・・だけど側にいることはわかっていて欲しい、私も貴方と一緒に背負うから。
それは私のただのエゴかもしれないけど、別の場所で知らないフリをして全てが終わるのを待つことなんて私には出来ない。
「好きにしろ。」
ゾロはそう言ってから意を決して、肉球のオーラに触れた。
「ぐあああああ!!」
その姿は何も見えない、ただ苦しい声だけが耳に響く。
私はズリズリと木にもたれかかるように座り込んだ。
涙がボロボロと零れ落ちてくる。
何も出来ない悔しさを感じる。
ただただ、ゾロの苦しみや痛みが叫び声で伝わってくるのを受け止めることしかできない。
『うっ、ううっ。』
涙が止まらない。
耳を塞ぎたくなる、だけれど塞いではいけない。
私はただただずっと、泣き続けることしか出来なかった。