第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
『私ならきっと耐えられる、だからゾロ「無理だ。」
私の提案をゾロは一言で一蹴した。
今ならまだ能力のおかげで痛みを感じない。
だからこそ申し出たけれど、代償について知っているゾロはそれを拒否した。
「倍の痛みである代償に加えてルフィの痛みと疲労を受ける気か。てめェには不可能だ、それこそ死ぬぞ。」
『でも・・・でも、ゾロには死んで欲しくない、私はもう誰も仲間を、私の味方でいてくれる人を失いたくない!』
私がそうゾロに叫ぶ。
ゾロはこちらから顔を背けて暴君くまの方を見た。
「耐えてみせる。」
ゾロは強く言葉にした。
「試してみろ。」
暴君くまがルフィの痛みと疲労からほんの少しだけをゾロに飛ばす。それがゾロの胸にスーッと入る。
「ぐわぁあああああああ!!」
『ゾロ!』
並々ならぬ叫び声がスリラーバークに響いた。
叫び苦しむゾロを見ているだけで、胸が痛くて苦しくなる。
その辛さを1人に背負わせて良いのか、良いわけがない。
なのに、私には何も出来ない。
ドサリと倒れこみ、ゼェゼェと息をするゾロに私は駆け寄る。
「・・・どうだ。」
「場所だけ・・・変えさせてくれ・・・。」
そう言ってゾロは立ち上がり暴君くまと共に歩き出す。
私もその後ろをついて行こうとするが「着いてくるな!」とゾロに怒声を浴びせられた。
だけれど、放っておけるわけもなく、私はこっそりと後ろをついていった。先ほどの場所から少し離れたところで立ち止まる。
暴君くまはそのままどこかへ行ってしまった。
ゾロはルフィの疲労と痛みである肉球のオーラを前にジッとそれを見つめていた。
私は木の陰に隠れながらゾロを見つめる。
ゾロは横目で私の方を見た。
あぁ、流石にバレていたのか。
「何故来たんだ、来るなと言ったはずだ。」
『放っておけるわけ、ないじゃない。』
貴方一人に全てを背負わせるなんて、私にはそんなこと出来ない。
「戻ってろ、こんなの見せるもんじゃねェ。」
『貴方1人に全てを背負わせない。』
「ルフィには手を出さねェ代わりに俺が身代わりになってんだ、その約束を違えるわけにはいかねェ。お前は、俺に恥をかかせんのか。」
そうじゃない、そうじゃないんだよ、ゾロ。
ただ私は貴方を失いたくない、それだけなんだ。