第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
『私は、あなたの言う通り厄介な能力がある。そしてその能力を使われて海軍にとって厄介な海賊を多く生み出してきた・・・ベトレイ海賊団もそうよ!』
「ベトレイ海賊団・・・裏切りを得意とするあの海賊たちか。海軍も随分被害に遭っていると聞く。」
私とリノスもかつてはその海賊の船に乗っていた。
ただ、私たちは搾取されていただけだが・・・彼らが強くなり様々な海賊や海軍に被害を与えて名を上げている背景には当時の私たちにも要因がある。
『それに・・・どうせ世界政府は知っているのでしょう?アーティルス叔父さんがゴールド・ロジャーの船に乗っていたという事実。そして私が賞金首になったことで、その血縁関係に目を瞑れないハズよ。』
「ふむ。」
暴君くまは少し納得をし始める。
「てめェは弟との夢がある筈だろ。」
ゾロが私をギロリと睨む。
その眼光に私はビクリとした。
「こいつは睨み1つでビビるような奴だ・・・。」
ゾロはそう呟いて再び暴君くまに向き合った。
「後生の頼みだ。」
ゾロはカランカランと刀を前方に放り投げた。
暴君くまはサンジと私を見てからゾロを見る。
「・・・これで麦わらに手を出せば、恥をかくのは俺だな。」
「恩にきる。」
暴君くまはルフィを片手で持ち上げた。
「・・・俺がやることを信じろ、約束は守る。その代わりお前には、地獄を見せる!」
暴君くまがルフィを手でトンと押す。
すると肉球の形でルフィから何かが出た。
「今コイツの体から弾き飛ばしたモノは痛み、そして疲労だ。モリアたちとの戦いで蓄積された全てのダメージということになる。」
ルフィは身体を酷使する技を大量に使っていた。
その痛みや疲労はどれほどのモノなのだろう。
おそらく、私たちとは比にならない。
「身代わりになると言うのなら文字通り、お前がこの苦痛を受けろ。ただでさえ死にそうなお前が、これに耐えきることは不可能・・・死に至る。」
ゾロがその疲労や痛みを引き受けるだなんて・・・そんなことをしたら死んでしまう。