第2章 私に出来ること (ウォーターセブン編)
「島だー!島が見えたぞー!」
その声を聞いて絵を描く手を止め眼前を見ると、そこには大きな島があった。
大きな噴水が目に入る。
その圧巻な光景に私は口を開けるしかなかった。
水の都だということで、家も何もかもが水上に作られている。
海賊船であることから少し裏にある岬に船を止める。
「よし!帆をたため〜。」
その声にゾロがロープを引くと、ボキッと柱が折れた。
「わー!何やってんだ、てめー!」
「違・・・!俺はただロープを引いただけで。」
その様子を見て、私はこの船は本当に修理で直せるレベルの状態なのかと疑問に思った。
船にだって寿命はある、幾度か船を諦め他の船に乗り換える者たちを見た。
私の船だって、その乗り換えの被害に遭ったわけだ。
『みんな、私を助けてくれた上にこうして次の島まで送ってくれてありがとう。』
みんなが船を出て島に乗り込もうとするところで私は別れの言葉を告げる。
「本当に行くのかぁ、クレア。」
そうルフィに声をかけてもらうと、何だか心が揺らいでしまう。
今まで私は仲間なんて作らず1人で航海をしてきた。
だから、たったの3日間だけれど楽しくて、寂しい1人の旅に戻るのが辛くなってしまう。
今までそれを辛いと感じたことはないと言うのに。
「おれらと居たって絵は描けるぞっ!」
「戦えないって言っていたけれど、今まで1人で航海して生き延びてるってことは、本当は強いんじゃない?」
チョッパーとナミの鋭い指摘に私は言葉が詰まる。
確かに彼らといれば、もっと素晴らしい絵を描けるだろう。
沢山の景色を見せてくれて、私にたくさんの感情を教えてくれる。
それに、少なくとも自己防衛は出来る。
だけれど・・・
『私、やりたいことがあるのよ。じゃあ、またいつか会えると良いね!!』
私がそう言って手を振ると、寂しそうにみんなも手を振ってくれる。
そうして私は居心地の良さを手放した。