第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
『はぁ、はぁ。』
私は左手の力で暴君くまの攻撃を防いだ。
しかし、その強大な力の前に全てを無効化できる程私に力は残っていなかった。
私自身への攻撃を防ぐことが限界だった。
周りを見渡すと全員が倒れていた。
暴君くまがルフィの元へ向かい、ルフィに手を伸ばすところが見えた。私はバッと駆け出してルフィの前に割って入る。
『ルフィは渡さない。』
「・・・"銀色の魔女"ディストラクト・クレアか。その厄介な能力で攻撃を無効化したようだな。」
私はキッと暴君くまを睨む。
たぶん、瓦礫の付け焼き刃な銃では攻撃は通らない。
左手の破壊だって、私の痛みを無くすために使ってしまっている。
「お前の過去の出来事や能力を省みると、その懸賞金は少々低いかと思われるが・・・海軍中尉を弟に持つおかげか。」
正直、リノスとの関係は知られないわけがない。
だけれど、過去の出来事とは一体どのことを言っているのだろう。
「アーティルスとの血縁関係も数年前の銀髪の少年少女によって海賊の経済力戦闘力がひとえに上がったことも海軍が知らないわけがない。」
あぁ、全て筒抜けなのか。
世界政府はやはり侮れない、もしかしたら欺いてここまで来れたと思っていたことは全部海軍に入ったリノスが何かをしてくれていたのかもしれない。
「知られていないとでも思っていたか。数年間、急激に経済力や戦闘力が上がり海軍を困らせていた海賊たちのいるところには必ず銀髪の少年少女がいたことは確認済みだ。」
いや、しかし既に賞金首である身だ。
今となってはそれが知られてしまったいたとしても何の問題もない。
「そこをどけ。」
暴君くまが手を上げて、その手を私に向けて下ろしてくる。
「"獅子歌歌"!」
ゾロが暴君くまに攻撃を与えた。
左肩あたりが切れて機械が剥き出しになる。
『その、肩は!?』
「フランキーみてぇなサイボーグか!?いや、ハァ、硬度は鉄以上か。」
暴君くまは口からビームを出してゾロを攻撃するが、間一髪ゾロはそれを避けた。
当たった場所の鉄が溶けていた。
この男は一体何なの?