第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
その男は暴君と呼ばれた海賊、バーソロミュー・くま。
通称"暴君くま"
【世界政府より特命を下す!麦わらの一味を含む、その島に残る全員を抹殺せよ!】
「・・・た易い。」
なんだか不穏な言葉が聞こえた。
抹殺って・・・。
「そんな、七武海と連戦なんて!」
「お前ら下がってろ、俺がやる。」
ウソップが悲痛な声を上げ、ゾロは刀に手をかけて戦闘態勢に入る。
「気をつけて、何かの能力者よ!あいつが手を触れた人間が消えるところを見た!そして、瞬間移動するわ!」
ナミが言うことが本当ならとんでもない。
人が消えるなんて・・・いや、悪魔の実にあり得ないなんてことはない。
すると、本当に目の前で暴君くまが消えた。
気がついた時には私たちのいるところに現れていた。
想像以上にデカイ。
こんなのをモリアと交戦した後の私たちが今相手したら確実に死ぬ。
「くそっ!やっと自由になれるのに!こんなところで死んでたまるかぁ!」
被害者の会の人たちが暴君くまに向かう。
しかし、1人に触れただけでその後ろの人にも何かが貫通して複数人が倒れた。
そして再び瞬間移動をし、次はゾロの後ろに現れる。
「"海賊狩りのゾロ"お前から始めよう。」
それを見てローラたちも戦おうとするが、ゾロが「いいから下がってろ!」と声をかけた。
「ケンカは買った、加勢はいらねェ。恥かかせんじゃねェよ。」
ゾロは剣を二本持ち暴君くまに相対する。
「なかなか評判が高いぞ、お前達。"麦わらのルフィ"の船には腕の立つ、出来た子分が数人いるとな。」
私たちはその言葉に全員が「イヤイヤイヤ」と照れてみせた。
褒められたら照れない人はいないだろう。
「一人残らず照れとる場合かァ!!」
その私たちの光景にローラは冷静にツッコミを入れた。
「おいゾロ、待てって!無茶だろ絶対!骨の髄までボロボロじゃねぇか、お前!」
『ゾロ、これ以上無茶したら死んじゃうよ!』
ウソップと私が声をかけるも止まる様子はない。
「死んだら俺はただ、そこまでの男!!」
そう言ってゾロは暴君くまに攻撃を仕掛けた。
死んだら・・・何もかも終わりなんだよ。
貴方は何度、私を不安にさせたら気が済むの??
ただ死なないで欲しい、それだけだ。
もう2度と叔父さんやエリシエンさんの時のような気持ちは味わいたくない。