第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
「ごめんね。」
ロビンは背が高いので抱きつくと私の顔が胸に埋もれた。
そして上を見上げた時にロビンが一言呟いて眉を下げながら微笑を浮かべていた。
私がムッと口を尖らせると、ロビンはヨシヨシと私の頭を撫でた。
ロビンはいつでもお姉さんが出来たような気持ちにさせてくれる。
みんなが無事だったのはモリアが影を変化させると実体も変化するのと同じ理屈なのだろう。
正常な状態の影が戻ったから、肉体も正常な状態になったということだ。
ローラたちも全員無事で私はホッとする。
「安心しろ、もう一生影が体から離れるなんて面白ェ事件は起きねェよ。」
ゾロがニヤリと笑いながら言った。
当たり前だ、そんな何度も起きてたまるか。
「とにかく、誰も消えずに済んで良かった。」
ウソップがホッとしたようで吐息をつきながら身体を縮めた。
ここで誰かが消えてしまったりなんかしたら、私はとんでもないトラウマを抱えてしまいそうだ。
ルフィも無事だが、意識を取り戻していない。
体が縮んでしまったりするなど負荷をかけすぎているのだ。
ロブ・ルッチと戦った時も体が動かなくなっていたし。
「もし!」
1人の老人が声をかけてくる。
私たちが交戦していたゾンビと同様に傷が多く、それはゾンビなのではないかと思ったが、大怪我した老人らしい。
紛らわしすぎる。
どうやらサンジたちは一度会っているらしい。
それから、ローラたちも集まってきて全員が私たちに頭を下げた。
「ありがとう、あんた達!スリラーバーク被害者の会一同、この恩は一生忘れないわ!ありがとうございました!お礼に私を嫁にあげる!」
「「「いらん」」」
男性陣がローラの申し出に声を揃えて言った。
ゾロが被害者の会からのお礼を断ると、ナミがゾロの方をスパンと叩いた。お礼したいって言うんだから!と。
たぶん、ナミはお礼としてお宝を貰いたいのだと思う。
【成程な。】
突如、上方から機械的な音が聞こえる。
電伝虫を通して話しているかのような音。
上方を見ると電伝虫と話している巨大な男がいた。
「落ち着いて聞いてよ・・・モリア達との戦いの最中で言いそびれたんだけど、この島にはもう1人いたの・・・"七武海"が!!」
ナミの言葉を聞いて、上方の男は七武海なのかと絶望感を覚えた。