貴方と紡ぐ物語 【アイドリッシュセブン】【R18】
第4章 Happy Birthday 【十龍之介】
琴音side
『ただいまー…あれ、龍之介さん、今日は早いですね』
お得意様の紹介で老夫婦の一日ハウスキーパーの依頼を受け、料理洗濯掃除と目まぐるしく働き、ようやく家に帰りついた私。
「琴音おかえり、今日は朝が早かったから、夕方には帰れたんだ」
いつも私より忙しい龍之介さんが、今日は早く帰って来ていて私を迎えてくれた。
『お仕事早かったんですね、今日はゆっくり休んでください、今からご飯作りますね…』
龍之介さんが迎えてくれると、一日の疲れもどこかに行ってしまう。
今日は龍之介さんの好きな魚料理にしようと考えながらキッチンに向かおうとすると、
「琴音、待って!!…お誕生日おめでとう!」
と言われた。
『へ、あっ、そういえば!』
そういえば、今日は私の誕生日だ。
龍之介さんは私が起きるより早く家を出たので朝は会っていないし、老夫婦とは初対面なので誕生日など知るはずもない。一日中働いていたので他の人には会っていない。
つまり誰にも祝われていない。
それにしても忘れていた自分に驚きだ。
『ごめんなさい…忘れてました…もっと早く帰ってくるとかするべきでしたよね…』
私がそう言うと、龍之介さんは優しい笑みを浮かべて、
「謝らないで、俺は君を一番に祝えて嬉しいよ。それに、仕事に一生懸命なのは君の良い所だろう?」
と言ってくれた。
『っ…ありがとう…ごさいます…うっ…』
龍之介さんの優しさに触れ、思わず感極まって泣いてしまう。