貴方と紡ぐ物語 【アイドリッシュセブン】【R18】
第3章 誘う華、誘われる蝶 【八乙女楽】
「…は?」
私の必死のお誘いに対して、楽から返って来た言葉はたったこれだけ。
……どうしよ、こいつ何言ってんのって感じなのかな。
しばし無言の状態が続き、いたたまれなくなって来た私は、
『……っっ、やっぱごめん、何でもない、忘れて……』
そう言って、ベッドから抜け出そうとした。
しかしその身体は。
「……は?…あんな事言っておいて、今更無しはないだろ」
楽によって呆気なくベッドに縫いつけられていた。
『…え?』
どうして。
楽は私に興味無くなったんじゃないの?
さっきの反応も冷たかったし。
様々な思いが頭をよぎる。
しかし、その思いも。
「あー、くそ、…せっかく最近抱きすぎだと思って自重してたのに…こんな格好で誘われちゃ、我慢できねぇだろ」
楽の言葉一つで全て吹き飛んだ。
『え…今、なんて』
思わず問いかけると、
「だから、最近がっつき過ぎだと思って、しばらく自重してたんだよ」
少し恥ずかしそうに話す楽。
最近私に触れなかった理由を聞いて、
『…っ、良かったぁ…飽きられてなかったぁ…』
思わず安堵の声が出てしまう。
「はぁ?何の話だよ?俺が琴音に飽きる訳ねぇだろ、どれだけ抱いても足りねぇくらい愛してんだよ」
あまりにも楽らしい、まっすぐな言葉に。
『っ、ふふっ、そっか、』
そうだ。
楽はこういう人だ。
あまりにもまっすぐで、格好良くて、
そして、優しい人だ。
もし本当に私に飽きていたなら、楽は私の幸せを思って、すぐに私と別れるだろう。
なんで忘れていたんだろう。