貴方と紡ぐ物語 【アイドリッシュセブン】【R18】
第3章 誘う華、誘われる蝶 【八乙女楽】
『…っ…やっぱ恥ずかしいな…』
お風呂で身体をピカピカにし、昼に買った袋から取り出したのは、グレーのランジェリー。
サテンのような生地で、飾りがあまりない、…更に言うなら、布もあまり無い、シンプルかつセクシーなデザインだ。
黒や赤では無くグレーを選んだのは、もはや無意識で。
こう言う所からも、楽が好きなんだなぁという自分の想いを感じてしまう。
私が立てた作戦は、至ってシンプルだ。
ランジェリーをきて、ベッドの中で待ち構え、誘惑する。
成功すれば、私に飽きた訳じゃないと言う事。
失敗すれば、……まぁ、そう言う事だ。
潔く身を引こう。
ちなみに、明日の仕事が早いから出来ないという事も考えて、作戦決行はオフの日の前日にした。
準備を全て終え、ベッドの中に潜り込む。
潜り込むと、
『………、楽のにおいがする』
…とても安心する。
『っっ、』
もし誘惑に失敗したら、潔く身を引く。なんて考えておきながら、別れたらベッドから楽のにおいは無くなるんだと考えるだけで泣きそうになる。
『っ、だめだ、泣いちゃ、…泣くなら別れてからだ』
そう唱え、涙を堪える。
そんなことをしていると、玄関の開く音がした。
「ただいま」