貴方と紡ぐ物語 【アイドリッシュセブン】【R18】
第3章 誘う華、誘われる蝶 【八乙女楽】
「行ってきます」
『いってらっしゃーい』
チュッ
作戦決行当日。
朝はやっぱりいつも通りだった。
…まあ今日は朝からしっかり仕事らしいししょうがない。
そう考えて自分を納得させようとするも、
いや、何度か深いキスをするくらいの時間はあったでしょう、
と言う考えも出て来てしまう。
『…まぁ、今夜で全部分かるんだし』
落ち着くためにそう呟き、私は作戦のための買い物へ向かった。
『ただいまー』
誰もいない部屋に、自分の声が響く。
作戦のための買い物と普通の買い物、途中で昼食を挟んだため、帰って来れたのは夕方だった。
『…はぁ…』
ため息をつき、一人分の夕食の準備を始める。
楽は外で食べて帰って来るらしい。
十中八九蕎麦だろう。
『いただきます』
手早く料理を済ませ、一人虚しい食事を始める。
楽と一緒なら、どれだけ失敗した料理でも美味しく感じるのに。
今日のそこそこ成功した料理はあまり美味しくない。
『お粗末様でした』
10分程で食べ終わり、片付けを開始する。
楽の
「ごちそうさま、美味かったよ」
が無いことが、いつも以上に悲しい。
一人でいるのに、気がつくと楽のことを考えてしまっている。
やっぱり私は、楽のことが好きなんだ。
想いを再認識し、何故だか泣きそうになる。
『…よし、』
小さく呟き、私は作戦の準備に取り掛かり始めた。