第8章 《エルヴィン》堕ちる2 ※
その日の夜は今までで一番素直にエルヴィンを受け入れることができた。
降り注いだ希望を掴むためなら、もうどんなに辛いことでも辛抱できる気がしたのだ。
「あぁっ!あ゛っ!だ、めぇっ!」
「だめ…じゃないだろう?いいときはいいと言いなさい。」
「ん゛あぁイイっ!イイぁああ゛!」
「ハハ、素直で良い子だ…愛してるよ、エマ」
ヌチュッヌチュッと卑猥な音を立てて出入りするエルヴィンの肉欲を、エマは快感に悶えながら歯を食いしばって受け止め続ける。
あとこの行為を明日、明後日と数回続けたら…私は…
「あぁあ゛あ゛あ゛!イ゛ッ!イ゛ッちゃうぅぅ!!」
「ん…はぁ、俺も…はっ、イく。イくぞ、エマ!」
腰を掴まれ上下に激しく揺さぶられる体は間違いなく快楽に悦んでしまっている。
だが心まで犯されたわけじゃない。大丈夫だ。
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そして翌日の夜。
「一人で入ってくるといいよ、風呂。」
「え…?」
「たまには何も考えずにゆっくりしてくるといい。私は後で入るから。」
「い…いんですか…」
突然告げられた言葉に驚いて聞き返してしまうエマ。
監禁されてから当たり前のように毎日一緒に入っていた風呂。
こんなことを言われたのは初めてだった。
何か裏があるのではと構えたが、聞き返してもエルヴィンは微笑んで頷くだけだったので、それ以上はなんとなく怖くて聞けなくて、エマは素直に従った。
ちゃぽん…
並々に湯が張られたバスタブに体を沈める。
この家の風呂は普通の家庭のそれとは大きさも作りも全然違っていて、丸いバスタブはで大人二人が入っても全然余裕があるくらいだしジャグジーもついている。
まるでラブホテルにあるような広々とした風呂だ。
ゆっくりしろ、と言われたがさっきからなんだか落ち着かない。
エルヴィンの言葉の裏に何かあるのではと気になっているのも確かだが、それよりも、この広い湯船にポツンと一人なことに変な違和感を感じていた。
“エマ、風呂は好きか?”
“好きなのはいいが余り長湯しすぎるのはかえって身体によくないからな。ほどほどにして、ほら、身体を洗ってあげるよ。”
不意に頭の中でエルヴィンの声がした。