第2章 《リヴァイ》嫉妬深くて束縛気味※
エマは正直言ってモテる。俺の色眼鏡を抜きにしても、だ。
今目の前で、持ちかけていた商談が上手くいった報告を俺から聞いてご満悦の営業部課長。
40すぎのおっさんが自分はまだいけるとでも思ってんのか、何かにつけてエマに近付こうとする厄介な野郎だ。
こいつ以外にも、他の営業マンだったり他部署の人間だったり、ひいては今年入社した新入社員までエマに言い寄ってくる奴らがいる。
同じ男として、誰がエマを狙ってるかなんてエマを見る時のそいつの目を見ていればすぐに分かる。
社内にいる時は常に、あいつに話しかけてくる雄には目を光らせているから間違いない。
それに俺と付き合ってからのこの3ヶ月で3人に告白もされている。
エマは当然のごとく全員振っているが、俺はあいつの立ち振る舞いについてひとつ不安に思うことが前々からあるのだ。
エマは誰にでも分け隔てなく優しい。
そんなところが好きな理由のひとつなのだが、それが男が関係してくるとかなり厄介なのだ。
先の告白してきた3人についてもなんて言って振ったのか聞けば、これでは振られた側もまだチャンスがあるのではと思ってしまうんじゃないかってぐらい甘い言い方だった。
この課長に対してもそうだ。
嫌ならもっとはっきりと態度に出せばいいものを、いつもヘラヘラ笑って誤魔化してるだけ。腹立たしい。
そして何より本人にはまったく悪気がないから、それが一番厄介なところだ。
俺も随分と我慢してきた方だと思うが、そろそろ限界だ。
自分で気付けないようなら、俺が教えてやらねぇとな。