第2章 《リヴァイ》嫉妬深くて束縛気味※
少し前に付き合い出した恋人がいる。
俺と同じ営業部に所属していて、営業事務を担当している社会人2年目のエマだ。
付き合い出したのは最近だし、同じ部署ということもあって周りの社員に変な気を使われるのも嫌だったから、この関係は2人だけの秘密にしている。
だから社内ではあくまで先輩後輩の関係だし、お互い他の社員と同じように接することにしているのだ。
「エマちゃん!来週顧客にプレゼンする用の資料、進捗どうかな?」
「あ、それならそろそろ出来上がりますよ!」
「おっ、さすがだねぇ!まだ2年目だっていうのに本当に君は優秀だな。上司としても鼻が高いよ。」
「ありがとうございます。でも私もまだまだ分からない事がたくさんなので、課長のこと頼りにしてますよ!」
終業まであと1時間ほどとなった頃、外回りから帰りエマの姿をチラリと確認すると、何やら鬱陶しい奴に絡まれている最中だった。
いい歳して鼻の下伸ばしてエマに近づきやがって…
おい、気安くエマの肩に触るんじゃねぇ。
エマもエマでそんな簡単に愛想を振りまくな。
今日は一日外に出てたからやっとエマの姿を見られると心弾ませて帰ってきたっていうのに、随分と胸糞悪いもんを見せつけられて苛立ってしまった俺は小さく舌打ちをする。
「君にならいくら頼られても嬉しいからウェルカムだよ。
あ、そうだ!今度の金曜他部署の奴らと飲みに行くんだけどエマちゃんもどう?会社の近くにできた新しい焼肉屋!」
「金曜……ですか?」
「そう、金曜!どう?」
「焼肉ですか…行きたいけど……どうしよっかなぁ…」
…は?
「課長、お話中失礼ですが、例の商談の件に今日動きがあって」
「おお、アッカーマン君、帰っていたのか。何?どうなった?」
とりあえずエマからこいつを引き離すことには成功した。
しかしあいつは何を答えに迷っていやがったんだ。
金曜は俺と会う約束があるじゃねぇか。
まさか忘れてやがるのか?