第8章 《エルヴィン》堕ちる2 ※
一昨日、私はこの男―エルヴィンに誘拐された。
睡眠薬のようなもので眠らされ、起きたら下着もなしでワイシャツ一枚でここに居て、持っていた鞄も中身ごとどこかへ隠され、逃げ場も失った。
その後リビングで無理やり犯された。
最初はそれはもう精一杯抵抗したのだが…気が付いたら自分から快感を強請ってしまっていた。
怖くて嫌で仕方なかったのに…
そして最後には男のモノで貫かれて果ててしまったのだ。
屈辱的だった。
でも私はあの時、このエルヴィンという男に刃向かうことはおろか、一瞬でも自分から求めてしまったのだ。
その事実を思い出して、また吐きそうになった。
「ぅうっ…」
「大丈夫か、」
「っ…はぁっはぁっ、はぁっ…さ…わらな…で」
心配そうに差し出された手を払い男の顔をこれでもかと言うほど睨み付けるが、依然全く効果は感じられない。
「どこへ行くんだ」
心配そうな声を背に受けながら、ふらふらと立ち上がりなんとか寝室のドアノブを握る。
衣服は相変わらずワイシャツ一枚で下着はもちろんなし。
これではやはり外へでることはできない。
それでもエルヴィンと同じ空間にはいたくなくて、私は気怠い体を引き摺りながら部屋を出てリビングへと向かった。