第6章 ◆ファン様100名到達記念 《リヴァイ》 教訓 ※
ノックをした瞬間に勢いよく開いたドア。
開ききる前に一瞬だけ兵長の顔が視界に入った気がするが、瞬きの後には俺は閉じたドアに向かい合うように叩きつけられ、両手を後ろで一纏めにされていた。
「よう…遅かったな。待ちくたびれるところだったぞ。」
「……っ!」
背後から至近距離で聞こえる声はやはり氷のように冷たい。
やばい…やばい…俺はここで殺られる…!
抵抗しようとはしなかった。するだけ無駄だと思った。
元はと言えば俺が悪いんだ。兵長の恋人に手を出した俺が。
だから今ここで、きっちりけじめをつけなければならない。
その間にも手首にはロープが巻かれ、ギチ…と縛り上げられる。
「万が一手出しされちゃ困るからな。それに慰めるのも禁止だ。」
「はっ…?!」
告げられた意味が分からずにいると、身体の向きを180度変えられて一気に視界が開けた。
右から左へゆっくりと見渡す。
蝋燭の灯りに浮かび上がる兵長の部屋は潔癖なまでに整理整頓が行き届いていたが、ある場所に無造作に横たわる白い影が飛び込んできて、その瞬間俺は目を見開いた。
エマ…さん……?
部屋の左側にあるベッドの上で横たわっているのは、一糸まとわぬ姿のエマさんだった。
顔はこちらを向いてはいるが何も言わない。
虚ろな目は焦点が合っていなくて、俺のことをちゃんと捉えているかは定かではない。
見れば兵長も下着一枚だ。
そこまで見れば、俺が来るまで何をしていたかなんて一目瞭然。
なぜこんなタイミングで呼ばれたんだ…
頭の中は疑問符だらけだった。
「おい、お前はこっちだ。」
兵長に背中を蹴られて転びそうになりながら前に出る。
そこにあった椅子に掛けろと命令され、座るとちょうど目線の先にエマさんの裸があった。
ベッドからそこそこ距離は離れている。
離れてはいるが、エマさんの表情ははっきり分かるくらいだった。
「兵長…何を…」
情けないほどに小さく震えた声。
兵長に対する恐怖心のせいなのか、エマさんの淫らな姿を見て昂奮しているせいなのか、自分でも今どんな感情が心を支配しているのか分からなかった。