第6章 ◆ファン様100名到達記念 《リヴァイ》 教訓 ※
「兵長…今日は本当にごめんなさい。」
部屋に入ってくるなり申し訳なさそうに肩を丸くするエマ。
ソファに腰掛けたまま手招きをすると不安そうな顔をして近づいてきたから腕を引っ張って抱き竦めた。
「昼間も聞いたが…アイツには本当にあの場で抱きしめられただけなんだな?それ以上何も無いと?」
昼に散々エマには詰め寄ったが、もう一度確認した。
「はい、断じてありません…」
真実を述べる目を見て安心する。
元々、エマは嘘など付けやしないのだが。
エマはモテる。すごくモテる。
加えてコイツはすぐ誰にでも愛想を振りまくし優しくしやがる。
しかもそれを天然でやっているから、尚のことタチが悪い。
いつも言い聞かせているが、彼女はそういう性なのだろう。
この手の事件はもう何度も経験してきているが、一向に治らない。もう半分諦めかけている節もある。
だから俺が守らなければと思っている。
とは言うものの、エマが手を出されているのを目の当たりにしたのは今日が初めてだった。
あのジャンとか言う男に抱きしめられている所を見た瞬間、鈍器で頭を殴られたような衝撃が走った。
全身を巡る地が一気に頭に集まり、一瞬本気でアイツの息の根を止めようとした。
エマは、ジャンが俺たちが恋人同士だと言うことは知らなかったんだと思うと言っていた。
別に関係を隠してなどいないが、まだ配属されて1ヶ月やそこらの新兵までは浸透していなかったようだ。
にしてもだ。
汚ぇ手で大事なエマに触りやがって…思い出しただけで吐きそうになるほど胸糞が悪い。
「お前が抵抗してたのは知ってる。昼間は責め立てるようなこと言って悪かった。」
泣きそうな顔をしているエマの頭を何度も優しく撫でる。
お前を悲しませたくてあんなこと言ったんじゃない。
自分でも呆れるほどの独占欲だ。
出来れば俺以外の男とは一切顔も合わせて欲しくねぇくらいだが、実査兵団にいるとそうもいかないし、そこまで言ってしまったら今度はエマを苦しめることになってしまう。いくらなんでもそこまではしたくない。