第6章 ◆ファン様100名到達記念 《リヴァイ》 教訓 ※
むせながら見上げると、氷のような三白眼がギロリとこちらを向いていてビクリと体が跳ねる。
「すみません…でした」
蚊の鳴くような声しか出なかった。
そして激しい後悔が押し寄せた。
まさかエマさんに恋人がいたなんて…しかも相手は人類最強のリヴァイ兵長だったなんて…
俺はなんて人に恋しちまったんだ。
勝ち目なんてないどころか、これじゃあ兵長の大切な人を横から奪おうとしたただの下衆な野郎じゃねぇか。
最悪だ…時間を巻き戻せるなら巻き戻したい。
最初からエマさんが兵長と付き合ってることを知ってたら、絶対こんな馬鹿な真似なんてしなかったのに…
でも後悔したところで遅い。
そして、本当の悪夢はこれからだった。
「てめぇ、ジャンと言ったな。」
「はっはい!」
低い声がして、慌ててベッドから立ち上がり左胸にドンと拳を当てた。
「見せたいもんがある…今夜俺の部屋へ来い。」
「は…はい!承知しました!」
俺は再び敬礼した。
すると兵長はそれ以上何も言わず、エマの手を引いて医務室を出ていった。
二人が居なくなると胸に当てた拳をヨロヨロと降ろし、俺はただただその場に立ち尽くした。