第6章 ◆ファン様100名到達記念 《リヴァイ》 教訓 ※
横たわるベットの足元に立っていた人物…それはリヴァイ兵士長だった。
俺は一目散に腕を離したが、兵長は眉間に深い皺を蓄え俺を睨み殺すような勢いだった。
「へ、兵長!」
エマさんが慌てて俺から降りて、かなり気まずそうな顔をして兵長を見ている。
いや、気まずいというよりも怯えているという方が近いかもしれない。
「リヴァイ兵長!これは…」
どうにか上手く弁解を、と頭を回したが全然回らない。
その時だった。
「兵長っ!止めてください!」
「お前は黙ってろ。」
エマさんの悲鳴で、俺はリヴァイ兵長に首を掴まれていることに気がついた。
身体がベッドから離れていく。ギチギチと首を締められて息ができない。
「ぐっ……」
「おいてめぇ、新兵。こんな所でコソコソとコイツにちょっかい出すとは、なかなかいい度胸してるじゃねぇか…」
凍えるような瞳で見下ろす兵長に、俺は蛇に睨まれた蛙のように指一本も動かせなくなった。
兵長の背後で狼狽えるエマさんが映る。
確かに軽率だった…
仮にも訓練時間中に公共の場で、エマさんの意思も聞かぬまま己の欲望に身を任せた憐れな行いだった。
けれどそれだけで兵長がこんなに怒り狂うなんて、思っても見なかった。
リヴァイ兵長ならそもそも、他人がどこで何してようが気に止めないような人だと思っていたのに、意外すぎた…
「兵長お願い!止めてください!ジャンは悪くないんです!」
「あ゛?ならてめぇは何で大人しく抱かれていやがった?まさかこの馬面馬鹿に靡いたって言うんじゃねぇだろうな。」
「違う!いつだって私は兵長だけ!!」
は……待て。
兵長とエマさん、恋人同士だったのか?!
「てめぇはいつもそうだ。誰にでもすぐニコニコと優しくしやがって…こういう馬鹿が勘違いすると何度言ったら分かるんだ?」
「ごめんなさい…でもジャンに悪気はなかったの!お願いだから離してあげてください!」
エマさんが半泣きになりながらそう言うと、兵長の手が漸く離された。
塞がっていた気道が開いて、俺は一気に酸素を取り込むと盛大にむせ込んだ。