第5章 《リヴァイ》変わらない場所
ぶっきらぼうで決して愛想のいい人ではないけれど、彼のことを何故か魅力的だと感じていた。
いつも表情に変化がない分少しでも反応してくれるだけですごく嬉しいし、こんなことも言うんだ、とかこんな顔もするんだと新しい発見があるとこれまた嬉しくなる。
けれど、私とリヴァイ兵長はあくまで店主とお客さん。
それ以上でもそれ以下でもなくて、月に一度だけこうしてお店で少し話すだけの間柄。
でも私はそれでいいと思っていた。
店の紅茶を気に入ってくれて、こうして毎月足を運んでくれるリヴァイ兵長の顔が見られる。
たったそれだけの事で私の心は十分に満たされていたと思っていた。
紅茶の試飲をしながらたわいもない話をした後、リヴァイ兵長はいつもの紅茶と試飲した分を合わせて2種類買って帰っていった。
「次はまた1ヶ月後か…」
小さくなっていく背中を見つめながらぽつりと溢す。
月に一度だけフラリと紅茶を買いに訪れるリヴァイ兵長。
滞在時間なんて長くても15分くらいだけれど、それでもリヴァイ兵長と過ごす時間が私は好きだった。
たわいもない話をしてても別に会話がなくても、リヴァイ兵長が同じ空間にいるだけで心が弾んだ。
そんなこんなでこの3年間で毎月顔を合わすことが、いつしか平凡な日々の密かな楽しみになっていって、今では毎月この日が来るを心待ちにしていたのだ。