第1章 《リヴァイ》浴衣と花火とりんご飴と※
………こいつは何をクソ可愛いこと言ってやがる。
俺はエマの言葉に、今すぐこいつを掻き抱きたい衝動が押し寄せるが、既のところでそれを抑え込んだ。
というか…
「それはこっちの台詞だ。お前の可愛い姿がたくさんの飢えた男共の目に晒されると考えるだけでこっちは気が気じゃねぇよ。」
「それは心配しすぎですよ!」
「いや、そんなことはない。現にさっきからお前を厭らしい目で見てくる野蛮な野郎共の視線を痛いほど感じるぞ。
出来ればこんな人混みは避けて、花火をふたり占めしてぇくらいだ。」
「リヴァイさん、被害妄想強すぎですって。」
「いや、本当だ。お前ももっと警戒しろ。」
「はい……」
エマの肩に後ろから両腕を掛けて抱きつき、綺麗に結上げられた髪の匂いを嗅ぎながら頭上で囁けば、エマは恥ずかしそうに俯いた。
「あーお腹いっぱい!苦しい!」
「おい、まだこいつが残ってるぞ。本当に食えるのか?」
「心配ご無用です!やっぱり楽しみは最後に取っておくのがいいですよね。」
屋台飯をたらふく食って俺も結構腹が一杯だったのだが、エマは意気揚々と袋から大きなりんご飴を取り出すと、嬉しそうに舐め始めた。
幸せそうな顔でペロペロとりんご飴を舐めるエマの横顔……
「…………」
「? どうかしました?
あ!リヴァイさんも食べますか?!」
「いや………」
エロい。
りんご飴ってこんなに厭らしい食べ物だったか?
それともこいつの食べ方がエロいだけか?
ただ普通にりんご飴を頬張るエマを見ているだけなのに、俺の下半身は確実に反応してしまっている。
エマは「美味しいのになぁ〜」と呑気に呟きながらペロペロしている。
「おい、こっちを向け。飴がついてる。」
「ひゃっ!!」
エマが飴を舐める姿を見ていたら我慢出来なくなり、飴が付着したエマの口元をペロリとひと舐めしてやった。
突然顔を近づけられ口元を舐められたエマは、ビクッと大きく肩を震わせる。