第13章 《リヴァイ》スパークル
ムワッとした湿り気を感じる。
エアコンの効いた部屋にいるのだから、暑さのせいではないのはひと目でわかる。
依然舌を絡めとったままクロッチを何度か押し込み、なぞって、十分濡れているのを確認すると、隙間から指を挿入した。
が、その瞬間。
——!!
声もなく全身が激しく強ばったのを感じて、リヴァイは肉芽へ伸ばそうとした手を止めた。
舌を引き抜けば わなわなと震える唇が目に入る。そして閉じられた目にはもう少しで零れそうなほどの涙が。
今、少女が震えているのは快感のせいではないとはっきり分かった。
リヴァイは体を起こし、乱れた制服を整えてやる。
薄く開かれた目には困惑と安堵が入り交じっていた。
「今日はもう帰れ」
急激に冷静さを取り戻していく頭と体。リヴァイはエマを見下ろしながら告げる。
そうして完全にエマから退き教材を片付け始めた。
「待って!なんでやめるの!?」
教科書を閉じようとした手首をパシッと掴まれる。振り返れば戸惑う瞳が揺れていた。
「俺は自分の立場が大事だからな。やっぱり万が一を考えて止めた」
あんなに怯えて、それでもまだできると思っているのだろうか。
「は…何それ……先生が変わるきっかけ作ってくれるって」
「何もセックスだけじゃないだろ。他にもいくらでも自分を変えるきっかけはある」
ギリギリと弱い力が必死に手首を締めてくる。
「あとは自分で探せ。お前ならできるはずだ」
リヴァイはもう振り返らずに言った。
今言ったことは確かに本心だ。でも本当はもっと言いたいことがあったが、それは呑み込んだ。
「……無責任…」
背後で声が震えている。掴まれたままの腕も小刻みに。
「先生が…変えてくれるって言ったんじゃない……私馬鹿だから分かんない…どうしたらこの負のループから抜け出せるか…」
「お前はどうしたい」
「分かんないよ…」
涙声。いつまでも離そうとしないその右手が答えだと言うことに、本人は気付いていないのだろう。
「辛いなら辛いと言え。人に甘えてみろ」
「わか…な…」
リヴァイは無言で俯く少女と向かい合った。
掴まれた手は振りほどくことはせず。
そして、小さく震える身体を片腕で包んだ。