第13章 《リヴァイ》スパークル
「え…?」
少し声を張ったリヴァイにエマは目を丸くする。
「確かにてめぇの親はどうしようもねぇ。だがそれでお前が可哀想だとは思わない。お前の人生は親に左右されんのか?違うだろ。どうしたいか考えるのも、どうするのか決めるのもお前だろ」
リヴァイは辛辣とも取れる言葉を容赦なくエマにぶっぱなす。
たぶん彼女に今必要なのは共感でもなく慰めでもなく、叱咤だと思った。
確かに辛い過去があったのは間違いないが、いつまでも環境のせいにして変わろうとしないコイツに気付いてほしかった。
だからもちろん頭ごなしにではない。言葉にはできるだけ愛情を込めてやったつもりだ。
しかし最初こそ圧倒されていたエマだが、次第にその顔を歪め、最後には馬鹿にしたように笑い出した。
「ハハッ!ねぇ先生、本当に暇人なんだね?確かに先生の言う通り変わりたいよ?こんなつまんない人生嫌だ。だからさ…」
——ガタガタ、ガタンッ!!
「っ?!」
それは不意打ちすぎて かわすことが出来なかった。
気がついたらリヴァイは椅子から転げ落ち、エマに床へ押し倒されていたのだ。
「先生が変えてよ?私の事」
馬乗りになったエマに見下ろされる。真っ暗な、孤独な瞳。
「他の生徒のことも喰ってんでしょ?私、スタイルにも顔にも自信あるから結構いいと思うよ?」
「……」
爪先がツーと首筋から下へなぞる。
瞳は細まって、柔く笑った。それは哀しすぎる笑みだ。
ガタッ!
「キャッ!!」
リヴァイはエマの両肩を掴みそのまま彼女ごと一回転して組み敷いた。いとも簡単に形勢逆転されたエマは目を白黒させている。
「俺をからかうのも大概にしろ」
細い手首を押さえつけて動きを封じ、鼻と鼻が触れ合うくらいの距離で低く囁く。
「…からかってなんか…私、本気だし……」
「……」
リヴァイは目を見た。侘しいその瞳を何秒か見据え、そして。
「お前が望むなら、きっかけぐらいは作ってやる」
「……ハハッ。とか言って、余裕無くすの先生の方かもよ?」
「ハッ、言ってろ」