第13章 《リヴァイ》スパークル
ザワつく生徒たちを黙らせ授業へと移る。
その際もう一度窓側の最後列を見たが、エマは退屈そうな顔で教室の外を眺めていた。
別に驚きはしない。
彼女のそういう態度も周りの反応も初めてではないから。
4月から教科担任になってからずっとこうなのだ。
…いや、エマと周りの様子を見る限り、もっと前からこういう態度だったのだと思う。
富井 エマ。
リヴァイは今年度、彼女のクラスで数学の教科担任を受け持つ。
派手ではないが容姿端麗で、モデルにスカウトされたことがあるという噂も耳にしたことがある。
しかしその性格はと言うと、口数が少なく…というか無口で、自己主張もほとんどない。
親しい友人がいるのかまでは知らないが、彼女が他のクラスメイトとまともに会話している姿など一度も見たことがなかった。
しかも他の生徒たちを見る限り、彼女はクラスの連中からあまりよく思われていないことも分かる。
周りが彼女に向けるのは、好奇の眼差しかはたまた避けるようなそれか。
いずれにしてもあまりいいものではないのは教師であるリヴァイから見ても一目瞭然だった。
やんちゃな生徒よりも、何を考えているのか読めないエマのような生徒の方が扱いにくい。
だがそんな個人的な感情で教育に差を生んではいけない。
リヴァイは今一度気合いを入れ直し、黒板に向かった。