第12章 《エルヴィン・リヴァイ》 “アイシテル” ※
リヴァイはペニスを抜くことなく、自身の欲の塊を一滴残らずエマに注ぎ込んでいる。
「う゛、ガハッ…」
「飲め。一滴も零すんじゃねぇぞ」
ペニスは抜き去られたが、エマは顔を持ち上げられたまま、精液を吐き出すことを許されなかった。
エルヴィンはようやく指を抜き、改めてエマを見た。
命令通りゴクリと喉を鳴らし液体を飲み込んだ彼女の目から、また新しい涙が零れている。
興奮と同時に感じたのは、やはり激しい嫉妬心だった。
自分からリヴァイを呼びつけておいて…
「は…ははっ」
堪えきれずに笑いが漏れてしまった。
二人でじっくりエマを壊してやろうなんて、そんな気持ちなどどこかへいってしまった。
独り占めしたい。何故こんな風に思うのか分からないが、自分で自分が可笑しい。
「エマ、こっちを向いて…あぁ、なんて顔してるんだ」
今あるのはただ、狂いそうなほどの激しい支配欲と、独占欲だけ。
エルヴィンは濡れた頬を舐めた。丁寧に何度も何度も、目尻に溜まった涙まで掬いとって。
後ろで、“ハッ”と嘲笑うような声がした。
振り返ればいつの間にか衣服を整えたリヴァイが、ベッド脇に立っている。
白手袋をキュッと嵌め込み、乱れた前髪を無造作に後ろへかきあげると、男は踵を返した。
「久しぶりに面白いもんを見せてもらった。エルヴィン、てめぇのそのツラも含めてな」
振り向きざまに放たれた言葉にエルヴィンが何か返す前に、次はエマへ向けて発せられる。
「てめぇの“飼い主”がご乱心だ。早く満足させてやれ」
「ははは!言われなくてもこの子なら分かっているさ。…ね?エマ?」
「! える、び……」
顔を覗けばぶるりと震え上がる身体。
エルヴィンは大きな両手でエマの頬を包み込み、揺れる瞳を捕えた。
リヴァイの気配は既にない。
「しかし……はは、リヴァイにはやられたな。少々格好悪いところを見られてしまった」
エマは困惑の目を向けている。
さっきのやり取りが理解できていないようだが、まぁこちらにとってはその方が都合がいい。