第12章 《エルヴィン・リヴァイ》 “アイシテル” ※
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「オイ、エルヴィン。あんまり甘やかすなよ」
完全に自立出来なくなってしまったエマをベッドへ寝かせた途端、エルヴィンは不服そうな声に制された。
「どうしろと?」
「エマの求めるようにはしない」
ベッドの淵に立つエルヴィンの横から、リヴァイは靴のまま上がって沈んだ躰を起こした。
あぁ、せっかく恍惚の中、心地よく脱力していただろうに…
無理矢理起こされたエマはまたリヴァイに怯えた目を向けていた。安らぐ暇など一時も与えられない。
「人間は弱い。だから甘やかすとすぐダメになる」
「あぁ…そうだな」
どんな時代でも、何百年も前から人間の根本はずっと変わらない。
簡単に絆され、何度も同じ過ちを犯しては後悔を繰り返し、一向に学ぼうとしない、愚かな生き物。
リヴァイはエマを見下ろしながら、指先を咥えするりと手袋を抜き放り投げた。普段は人間を素手で触ることすら嫌がるというのに。
「だから馬鹿なコイツの躰に刻んでやるんだよ」
リヴァイの目は愉快そうだ。基本的に血を喰らう以外人間には無関心な男が久しぶりに見せた、愉しそうな顔。
「あっ!やめてっ!!」
エルヴィンは座らされたエマの背後へ回り後ろでエマの両手を纏めた。
さらに開いた左右の脚に自身の脚を絡ませ固定すれば、何も身につけていない下半身は向かいの男へ晒される。
「やぁっ、やだ!エルっんぐぅ!」
「自分で咥えていなさい」
首元まで捲ったキャミの裾をエマの口に詰め込み、耳元に唇を寄せた。
「エマ、お前の全てをリヴァイによく見せてやろうね」
「っく、んんぅっ!」
暴れるエマを押さえつけながら囁き、中指で乳輪をなぞると跳ねる。乳首は避けているというのに随分と反応がいい。
一度イッたせいなのか、それとも…
「まさか、この状況に興奮してるのか?エマ」
「はっぁ…ち、がっ……」
「こら、咥えていろと言っただろう」
落ちた布をまた口に押し込み、首に牙を刺すと仰け反って乳房が押し出された。
「オイエマ、こっちを見ろ。目も合わせねぇとは…本当に失礼な奴だな」
リヴァイは冷たい声で言い放つと片手で頬を鷲掴んだ。氷のような目がエマを捕らえる。