第12章 《エルヴィン・リヴァイ》 “アイシテル” ※
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舐めていると粘度のある液体が舌に纏わりついた。絶え間なく漏れる声には拒絶と悦びが入り混じる。
エルヴィンは顔を上げた。皮膚に牙を刺されながら、苦悶の表情を浮かべているのは“愛する”エマだ。
痛みすらも快感に変わってしまう、淫乱で可愛い私のエマ。
リヴァイがエマの肩口から顔を離すまで様子を眺め、立ち上がった。
「なんてツラしてやがる…気持ち悪い」
「お前が怖いことを言うからエマがますます怯えてるじゃないか」
「よく言う。てめぇの方が狂気だろうが」
「エマ。私が怖いか?」
「も…やめ…て…」
瞳を潤ませ懇願するエマの髪に指を通す。もうそれだけで震え上がって、涙は幾筋も頬を伝った。その雫を舌で掬い耳朶を喰む。
「ひっぁ…んっ」
しかしピチャピチャと音を立てながら愛撫すれば拒絶はどこへやら、だ。
三ヶ月。抱き続けているのだ。エマの好きな場所は熟知している。
例えばここ、耳も弱い。ほらまた膝が折れた。すかさずリヴァイが立たせている。
しかし本当に容赦のない奴だ。満足に座らせてすらもらえないエマが可哀想で、可愛い。
耳に唇を付け、囁いた。
「エマ?今日はもう一人いるから、両方一緒に可愛がってやれるな」
「ん、ひゃっ、ぁ」
耳孔に舌を挿入しながら目配せをすると、リヴァイは乾いた笑いを漏らしエマの背後へ回る。
「てめぇに指図されるのは癪だが」
言いながら、男はエマの左耳に唇をあてた。
「俺は甘やかしたりしねぇからな…エマ」
「っぁ!」
「くれぐれも壊してしまわないように」
エルヴィンの忠告を無視し、リヴァイは耳孔へ長い舌を伸ばしている。
他の男に愛撫され顔を歪めるエマを見ていると、背中から脳天へゾクゾクした何かが這い上がる。
言い様のない昂り。大事なエマを自分以外の男に壊されるのは許せないが、二人で壊してしまうなら…
「忘れられない夜になりそうだな」
後ろから抱きしめられるようにして動きを封じられたエマは耳を犯され悦に染められながらも、頭を振り抵抗しようとする。
「せっかくなんだ、エマも楽しまなくては」
エルヴィンは逃げる頭を掴み、再び耳穴に舌を捩じ込んだ。