第12章 《エルヴィン・リヴァイ》 “アイシテル” ※
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珍しい、とリヴァイは感じていたのだ。
エルヴィンはいつも美味いと思えばすぐに喰らい尽くす。なのに今回はそうじゃない。大切に少しずつ味わっている。
じっとエマを見つめた。
「んっ……やぁ!やだっ…エルヴィ、さんっ!汚ぁっ……!!」
自分の秘処に埋まる頭を押さえ、嫌々と首を振っては喘いでいる。エルヴィンの生み出す音が卑猥さを増すごとにエマの脚の震えも増していった。
ついにガクッと膝が折れた瞬間、リヴァイは手を伸ばして白い身体を支えてやる。
支えた、というよりは、無理矢理立たせたに近い。楽になることは許さない。
「しっかり立て。てめぇの後始末させといて何善くなってる。やだじゃねぇだろ?ありがとうございますだろうが」
「ひ、ぅっ……っん、ぁあ……!」
口淫をやめないエルヴィンに、よく舐めてやれるなとリヴァイはもはや呆れを抱いていた。
そんなふうに甘やかしていてはいつまで経っても馬鹿なメス犬のまま。
「エマよ、悪いことした自覚あんのか?だらしねぇツラしやがって……。一から躾け直してやんねぇと駄目そうだ」
「な、なに、ぃ゙っ…!ぁ、あ゙!」
綺麗な素肌に、思いきり噛み付いた。
血を取り込めばエルヴィンが手離したがらない訳をすぐに理解する。何百年何千年と生きているが、なかなか巡り逢うことのない極上の味。
簡単に殺すのは惜しい。
「ふぁ……あ、ぁ…ん、ゃあっ……」
噛まれることだけではなく吸血にも痛みを伴うはずなのに、エマから漏れるのは甘美な声。
持論だが、躾に一番効くのは痛みだとリヴァイは思っている。しかし痛みを悦ぶのならエマにはもっと別の何かを与えなくてはいけない。
例えば快楽。
痛みで悦を得るように、快楽が苦になることもある。終わらない快感を与え続けると達しながらも殺してくれと懇願し始める人間は少なくない。
リヴァイはさらに深く牙を刺し、傷を抉る。
鎖骨をなぞり、その指を下ろしていき、キャミを押し上げている乳首を軽く弾いた。
身を固くしたエマは目だけをとろんとさせ、気持ち良い顔をしている。
この先に何が待つかなど知らないまま。