第11章 《エルヴィン》黒の彼氏 ※
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「ねぇ昨日のニュース見た?」
「見た見た!この大学の女子学生が死んでたってやつでしょ?」
「何それ?」
朝登校すると友人が騒いでいて、二人の話に心当たりがなく聞けば、二人揃って“えー!”と吃驚された。
「エマ知らないの?うちらがよく飲みに行く繁華街ら辺で死んでたらしいよ」
「え、何それ怖い…」
「でしょ?しかも死因は失血死。暴行とか刺殺ならまだ分かるけど、失血死って不気味すぎるよね」
「それってまるで吸血鬼じゃん」
私は冗談めかしたが、私よりもより事態を深刻に受け止めていたらしい二人からは悲鳴が上がった。
「それ有り得るかもー!やば!こわ!」
「ちょっと二人とも、今のは冗談」
「あんたももうちょい危機感持ちなさいよ!うちの学校の子がやられてんだよ?しかもよく行く繁華街だしさ、他人事じゃないって!」
まぁ二人の言うことは分からなくないけど、殺人事件なんて今や日常的に起こってるし、たまたまうちの学生が巻き込まれたってだけで、そこまで警戒しなくても…
私は二人にイマイチついて行けなくて、その後も適当に話を合わせていた。
「そういや例の逆ナン彼、その後どうなったの?」
「あ、あぁ。あの彼ね」
話題は二転三転して、ふいに話を振られる。
1ヶ月前に酔った勢いで逆ナンした、例の一目惚れの彼のことだ。
私はなんて返答しようか考えながら勝手に頬の肉が緩むのを感じてしまった。
その表情を見て悟った二人も同じようにニヤけ出す。
「実は先日…付き合うことになりました!」
「「きゃーーー!!!」」
言いながら相当締まりのない顔になっていた気がする。
だって、数日前の夜を思い出すと未だに心臓は爆発してしまいそうなほどなのだ。
その後友人からは怒涛の質問攻めをくらい、私はまんざらでもない気分で答える。
私たち三人は授業もそっちのけで明るい恋の話題に花を咲かせたのだった。