第10章 《リヴァイ》 一線 ※
少ししてエマの元へ運ばれたのは卵雑炊だ。
彩に薬味ネギが添えられたご飯からは白い湯気が立ち、エマの胃袋を刺激する。
「わぁ…美味しそう!」
ちなみにリヴァイは料理上手だ。
リヴァイの家に行くとよく手料理を振る舞ってくれて、どれもいつもすごく美味しかった。
そんなリヴァイが作ってくれた雑炊。初めて食べるが不味いわけがないだろう。
「いただきまーえぇっ?!」
エマは意気揚々と手を伸ばしたがひょいとお盆ごと器が逃げ空振りに終わる。
お腹も空いていたしお預けを食らったみたいで、焦ったエマは抗議に身を乗り出した。
「え?!なんで?!」
「食べさせてやるからお前はそこに座ってろ。」
「やっそんな!もう熱もないし全然一人で食べれるよ?!」
一際大きな声が狭いワンルームに響く。
すこぶる焦るエマとは対照的に冷静なリヴァイは、小さく息を吐きながらサイドテーブルに盆を置きエマの隣に座った。
「んなことは知ってる。兄貴が直々に食わしてやるっつってんだ、こういう時は素直に甘えとけ。」
「でっでも子供じゃあるまいし…恥ずかしいよ!」
「ピーピーうるせぇな……ほらいいから食え。」
フーフーと冷まされたスプーンが口の前にズイッと差し出される。
もうここまでされては拒否することもできない。
仕方がないと諦めて、エマはありがたくリヴァイの厚意を受け取ることにした。
スプーンが唇へ近づいてくる…
当然だがリヴァイは自分を見ていて、その視線を感じながら口を開けるのが恥ずかしくて、ぎこちなくなっていないか心配だった。
「……美味しい」
でも、口に入った瞬間広がる美味しさにエマは恥じらいなどすぐ忘れた。
とても優しい味。なんだかすごくほっとするし安心する。
リヴァイの愛情がたくさん詰まっているような…そんな感じだ。
「美味しい…美味しいよお兄ちゃん!」
「良かったな。まだまだあるから食え。」
エマの幸せそうな笑顔を見てリヴァイも安心する。
次々スプーンに乗せて運んでやった。