第2章 《リヴァイ》嫉妬深くて束縛気味※
「なんだ、俺が帰った後また課長と楽しくお喋りでもしてたのか?」
「すみません、必死に片付けたんですけど間に合わなくて…」
「そんなことは聞いてないだろ。質問には正確に答えろ。」
「かっ課長とは定時後にお話してません!」
「そうか。なら焼肉屋は行くのか?」
「え?…あ、あのお話はちゃんと断るつもりだから大丈夫です!
リヴァイさんとの約束があるんだし…」
リヴァイが怒っている。
しかも遅刻に怒っているのではなく、どうも今日の課長とのやり取りが気に入らなかった様子だ。
付き合った時から結構嫉妬深いところがあって束縛も強めだとは思っていたが(それは全然嫌いではないのだが)、あのやり取りにそんなに腹を立てるポイントがあっただろうか。
エマは課長との会話を思い出し考え込む。
「…おい聞いてんのか?」
「え?!あっ、すみませんちょっと考え事しちゃって」
「何故あの時、即断らなかったと聞いてるんだ。俺との約束があるなら尚更だろ。」
「それは…その、なんか言いづらくて…」
知ってる。
こいつがそういう誘いを断るのを大の苦手としていることくらい。
リヴァイは眉間の皺をさらに深くし、エマに鋭い視線を突き刺した。
「でっ、でも本当にちゃんと断るつもりでいたんです!リヴァイさんとの約束をすっぽかして課長の誘いに乗るなんて絶対ありえません!」
エマは瞳を潤ませて必死に訴えかけた。
「そうだな、そうじゃなきゃ困る。だが……」
リヴァイは押さえつけていた腕を解放してエマの輪郭に手を沿わせ、親指で頬を撫でた。
「お前のその曖昧な態度が男共を期待させてるってことにはまったく気付いてねぇようだな。」
「…え?」
リヴァイの言葉の意味がよく理解出来ず、頭に疑問符を浮かべるエマ。
「お前は仕事じゃ頭キレるくせにこういうことには鈍感過ぎるんだよ。そういうお前の態度がどれだけの男を惑わしてるのか分かってんのか? 」
「え、えと……」
相変わらず理解しているのかいないのかよく分からない返事に、リヴァイは益々苛立ちを募らせる。
エマにぴったりと身体を寄せ、片手で顎を掴んで至近距離でその視線を捉えると、リヴァイは低い声を響かせた。