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dearest moment

第26章 外伝


◇ for the 13th ◇

 最近、十三番隊付近で檜佐木副隊長をよく見かけるようになった。
 最初は何故なのか解らなかった。思えばこんなに解り易い状況なんてないのに、俺は気付かないフリをしていた。



 俺は十三番隊に入隊した当初からあの人に憧れていて、彼女を目標に毎日頑張って六席にまで登りつめた。席次なんか彼女は大して気にしないけれど、ヒラのままでは話し掛けることも躊躇われた。それ程遠い人だった。
 仕事や任務を共にするようになって益々彼女に惹かれていく自分がいた。
 だってあの人は。
 いつもいつも一生懸命で、周りにも優しく笑顔で接して、謙虚で清楚で慎ましい。苦しいことがあっても表に出さず、明るく気丈に振る舞う。
 支えになりたいと、守りたいと思ってしまった。討伐任務時はなるべく近くでサポートした。彼女は怪我をしてもいつも自分の治療を後回しにするから、危ない場面でなるべく助けた。
 彼女は、いつもありがとうと俺に感謝してくれた。
 その笑顔が見られるなら俺は……俺は頑張れる。この先も彼女の傍でずっと…



 けれど最近、彼女の笑顔に変化が現れた。
 妙に綺麗で色気すら漂う。いや元から綺麗さと可愛らしさを兼ね備えた人だけど。
 やけに眩しい…くそ、目が離せない。
 見ているうちに気付いてしまった、彼女を綺麗にさせている原因に。
 いつも俺が見ていることを知らずに、彼女は他の男に恋をしていた。



「夢野四席いますか?」
「今、所用で出ています」
「そうですか…じゃあ、出直します」

 檜佐木副隊長には悪いけれど、最初は不在時で良かったと思ったりしていたんだ。執務室を訪れた彼と、夢野さんを引き合わせたくなかったから。俺は夢野さんが好きで好きで仕方なかった。

「夢野さん、ちょっといいですか?」

 ダメ元で俺は彼女を夏祭りに誘った。今年こそは勇気を出して誘おうと決めていたから。入隊したての時から比べれば、俺は成長した自分に自信を持っていた。

「あの、夏祭り…一緒に行けたらと思って、お誘いしようと声を掛けました」
「…ごめんなさい、夏祭りはもう約束した人がいるので…」















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