第25章 夢のあと(おまけ)
笑顔を見せる彼に心細さが溶かされ安心に変わる。この後は二人で食事に行く予定だ。
「すぐ出られますよ。何食べますか?」
「…その前に」
部屋を確認して荷物を持とうとすると、後ろから驚かすように抱きすくめられた。いたずらっ子のような振舞いが可愛らしくいとおしい。
「ここ、執務室なんですけど…」
「誰もいないんだろ?」
反論出来ない萌に、修兵は待っていたように顔を寄せてくる。
「…じゃあ、見られる心配ねえよな」
耳元で囁かれると途端に心臓の鼓動が早くなった。腕を引かれ、振り向いたところに唇が降ってくる。まだ恥ずかしいけれど嬉しさのほうが勝ってしまって、彼のくれる甘い刺激に懸命に応じた。
「ん…」
あまりの心地良さに溺れかけるも、何とか気持ちを落ち着ける。
やがて名残惜しそうに唇が離されると、熱っぽい瞳で修兵が見つめてきた。
「もうちょっとだけ…駄目か?」
いつまでも傍で触れ合っていたい。でも二人で出掛けたり食事もしたい。
そこで萌は荷物から先程貰った箱を取り出した。
「ちゅ」
ひとつを手に取り修兵の唇に口づけるように触れる。彼は小さく笑って尋ねた。
「何これ?」
「お土産のお菓子。まかろん、だそうです」
「…甘い」
「ふふっ」
もぐもぐと頬張る彼に微笑むと、急に手首を掴まれ唇を奪われる。
「あっ……ん」
「…甘いだろ?」
舌を絡ませ先程よりもねっとりとした動きに翻弄され、頭の芯がくらくらした。
「…可愛いことしたら、キスするからな」
悪戯気に笑う修兵に照れながらも微笑み返した。
これからもきっと、沢山の甘さをくれるだろう彼に。
あたしも沢山の気持ちを返せるように。
彼の傍で、彼の為に。
一緒に過ごす時間を大切にしていこうと心に誓った。
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