第25章 夢のあと(おまけ)
詳しい経緯は分からないが、乱菊に散々からかわれたようだ。けれどそれは今までとあまり大差ない気もする。
一方の萌は普段と変わらない生活を送っていたが、今日は久しぶりにイヅルと恋次に出くわした。
「あ、萌さん」
「よう萌、祭りは楽しかったみたいだな」
恋次を見て咄嗟に言葉を詰まらせた萌をイヅルが気遣う。
「大丈夫だよ。阿散井くん機嫌直ったんで」
「お前に言われるとなんかムカつくけどな」
腑に落ちない顔つきを見せるも、すぐに冗談にして笑い飛ばす恋次の様子に萌は驚きつつも安堵した。
「色々考えてもしょうがねえし、面倒臭えしな」
「うん」
「オレはオレのままでいこうと決めたワケよ。ま、今までと変わりないな」
「うん…」
そのほうがきっと恋次らしい。萌も勿論、変わりなく接していくつもりだ。
「…で、どうなの?檜佐木さんとは」
イヅルが興味津々に萌の近況報告をせがむ。だがそんな恥ずかしくて照れ臭い報告は出来る訳がない。
「な…仲良くさせてもらってます…」
「檜佐木さん、ちゃんと優しくしてくれてる?困ってない?」
イヅルのその質問に、何を勘違いしたのか恋次が息も荒く問いただしてくる。
「はっ…?そりゃどういうことだ萌!?お前もうそんな事されてんのかよ」
「ちょっと、何の話なの?もう…やだ」
萌が恥ずかしさで泣きそうになると、イヅルが慌てて割って入った。
「阿散井くんそれは飛躍し過ぎじゃない?萌さん泣かせてどうするの」
「あ…違うのか。何だ…」
「ほっとしてる場合じゃないでしょ、ちゃんと謝って」
彼に促され恋次はこちらに向き直る。
「萌ごめん。ほら、これやるよ」
「…何これ?」
そして持っていた袋から小さな箱を出し手渡された。
「現世の土産だ。まか…ろん?とかいう菓子だ」
「現世…行ってたの?」
「ああ。ルキアがいる所じゃなかったけどな」
またな、と手を上げる二人と別れ、解放された萌は十三番隊へ戻った。
皆が帰った後執務室に一人残って待っていると、約束通り修兵が来てくれた。
「萌」