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dearest moment

第12章 合同任務・二


 その夜はずっと彼に付き添い、ただひたすらに彼の容態の回復を祈った。



 翌朝になり十三番隊へ出勤した萌は、午後の勤務を早退し改めて修兵の病室を訪れた。

「…萌ちゃん」

 そっと室内に入ると彼は目を覚ましていて、ベッドに横になりながら首だけ動かしてこちらを見た。

「お疲れ様。任務の残りの処理させちゃって悪かった、ありがとな」

 座るように促されベッド脇の椅子に腰掛ける。昨夜に引き続き体や腕を固定されていて見るからに痛々しい。だが熱は下がったのか喋れるようになっていて安堵した。

「そんな心配しなくても大丈夫だ、大した傷じゃねえから」

 あたしが受けるはずだった傷。どうしてあんな捨て身の庇い方をしたの…
 それはあってはならない事だ。これだけは、伝えたい…どうしても。

「檜佐木さん」

 萌は静かに呼び掛けた。

「…約束して下さい。二度とあたしを庇ったりしない、って」

 真剣な面持ちの萌に、修兵は黙って話を聞いている。

「あなたは副隊長なんです、あたしの代わりはいても檜佐木さんの代わりはいません!」
「萌…それ本気で言ってんのか」

 だが修兵はにわかに眉を寄せ、射るような鋭い視線をこちらに向けてきた。

「お前の代わりだっていねえよ、ふざけんな」

 怪我のせいで声を荒げることはないが、口調は明らかに怒っている。それは自分の存在をないがしろにする発言に対しての怒りだった。
 言われて初めて自分を軽んじていた事に気付き萌が黙り込むと、修兵は再び口を開いた。

「俺には隊を統率し隊員を守る責任がある。その為に怪我を負ったのなら、それは俺の力不足だ…お前が気に病むことじゃない」

 それは席官として分かっているつもりだ。しかし萌はそう簡単に割り切れなかった。自分の中の感情が湧き立つ今、割り切れるはずもなかった。

「…でも、隊長や副隊長が導いてくれないと……あたしは…」

 違う…こんな事言いたいんじゃない。あたしはただ、檜佐木さんに傷付いて欲しくないだけだ。













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