第12章 合同任務・二
「先程虚掃討の要請があった。すぐ対処して欲しいということで今回も九番隊と合同だ。前回の流れで問題ないだろう」
浮竹に呼び出され隊首室を訪れた萌は、任務の通達を受けていた。
「…最近、虚の群れが頻繁に現れますね」
「ああ…少し気になるが、原因調査は十二番隊に任せよう」
「解りました」
「頼んだぞ」
九番隊部隊と合流し早速現世へ向かう。
任務時の修兵は集中力が高く余計な話もしない。お陰で萌も邪念を捨てて任務に専念出来た。今回も、編成した班ごとに個別撃破で虚達を駆除していく。
担当区域の戦闘は順調に進み全て討伐出来る見通しが立った頃、何やら一瞬強い霊圧を感じた萌は、修兵への連絡も兼ねてそちらの様子を見に走った。
そこでは虚の一個団体と大型虚が数体、九番隊の班が相手をしていた。突如何か違和感を覚える萌。
この虚……何か、変…
「萌、そっちはどうだ?終わったか?」
特攻隊を率いて虚を相手していた修兵が、群れを始末して呼び掛けてくる。
「残り数匹です」
「ここら辺の虚は少し違う、気をつけろ」
言われた通り注意を払い、落ち着いて近くの虚を駆除する。しかし何だかしっくりこない。
霊圧が安定していない…というより、霊圧を消せる…?
一匹ずつ確実に仕留めて数を減らしているはずなのに、不安定な霊圧のせいで敵の正確な数や位置が掴めない。もて遊ばれているかのような感覚に陥っていた萌に、背後から虚が迫って来ていた。
「萌…ッ!」
修兵の声が聞こえて振り返ると、大型虚がこちらに狙いを定めているのが見えた。雑魚虚は囮だったのだ。
次の瞬間、虚の鋭い触手が修兵の肩を突き刺していた。爪は体を貫通し、なおも動こうとするのを防ぐように修兵の手に握られている。刃先は萌の目の前で止まった。
「……檜佐木さ…」
どうして……
虚の刃が止まると、修兵はその場に崩れるように片膝をついた。二撃目を打とうとする虚が彼の肩越しに見える。