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【文スト】君の笑顔が見たいから【R18】

第10章 止められなかった



電話を切った敦さんは少し難しい顔をした。


「この事件警察に任せることになったんだって。依頼者がさっき探偵社に連絡したそうだよ。国木田さんは戻ってきても、まだ調べてても良いって言ってるけど、どうする?」

「折角だし、ここでゆっくりしても良いって」


その言葉を聞いて、悩んだ。


『私は…』


ここにいたい。残りたい。


まだ敦さんと2人きりでいたい。


こんな機会、もう無いかもしれない。


だから探偵社に戻りたくない、って言いたいけど素直に言えない。


『敦さんは…?』


「うーん、僕はどっちでもいいよ。 」


じゃあ、ヨコハマに帰りたくない、って言ってもいいんだよね。嫌がれないよね。


でも、言葉が出てこない。


私が言葉を口に出したのは、敦さんが話してから1分くらいたった頃。


『ま、まだ、ここにいたい、です…。敦さんと、まだ…』


緊張と恥ずかしさで、言葉が途切れ途切れになった。


「うん、分かった。じゃあ調査はやめて観光しようか」


敦さんは私の答えに嫌な顔をせず、ニコッと微笑んで応えてくれた。


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