第11章 憂愁
早く出ようと思って応答のボタンを押した。
『もしもし…』
どうして電話なんかしてくるんだろう、と思いながら相手の声を待つ。
待ってみても相手からの返事の言葉が無い。
『あの、』
もう一度声をかけるが返事は無く、無音だった。
数秒待っていると、プツリと通話が切れた。
『あれ、切れた……』
なんだったんだろう、と携帯電話の画面を見つめる。
また電話が来るのを待つか、それとも折り返し電話をした方がいいか。
どっちをした方がいいのか悩む。
自分からした方がいいかもと思い、は履歴から電話をかけた。
『(出るかな…)』
そう思いながら相手が出てくれるのを待つ。
しかし5コール以上しても反応がなかった。
『(もしかして、何かあったのかな)』