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【文スト】君の笑顔が見たいから【R18】

第10章 止められなかった




敦さん何て思ってるんだろう。すごく心配。


歩いていた足を止めて、振り返る。


敦さんは、その場から動いていなかった。きっとこの状況に、困っているんだろう。


ごめんなさい。敦さん。どこまでも面倒で。何度も迷惑かけて。


本当に敦さんといる時だけは、話しかけてほしくない。


耐えられない。


ものすごく屈辱を感じる。


『はあ……』


仕事の用事なんて絶対嘘。


東京でばったり偶然会うなんてない。


嘘だ。嘘をついている。彼は嘘つきだもの。


そうだよ。


きっと、そう。


じゃないと嫌だ。


どこまで私の邪魔するんだろう。邪魔をされたら敦さんとの関係が崩れてしまう。


昔だってそうだった。


本当に自分が嫌いだ。過去はもっと嫌い。


「……逃げるのかい?ちゃん」


樹戸さんが言うけど、聞かない。聞きたくない。


何も応えないで私は歩き始める。


私はもう、諦めるしかないのかな。




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