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【文スト】君の笑顔が見たいから【R18】

第10章 止められなかった



次の日。

キスマークはまだ消えていない。昨日と同じで見えないようにスカーフで隠して、探偵社に出勤した。

──敦さん……

自分の気持ちなのに、どうしたいのか分からなくなる。

鏡花ちゃんが羨ましい。

昨日聞いた事を引きずっている。

『おはようございます』

敦さんとの調査2日目は、昨日より緊張は和らいだ。

「おはよう、今日もよろしくね」

そう言って敦さんは微笑んだ。それに私もつられて微笑む。

一緒にいられるのは嬉しいけど、なんだか気まづくて早くこの依頼の仕事を終わらせたい。

そう思いながら、駅に向かう。

「ちゃん?」

敦さんの声でハッとした。

私はいつの間にか歩くのやめていて、敦さんとの距離が離れていた。

「大丈夫?ぼーっとしてた」

『っあ、あぁ、大丈夫です……』

そう言って敦さんの方へと駆け寄った。

敦さんに大丈夫と言うけど、本当は少し頭が痛い。

「本当?顔色が悪いよ」

心配そうに言う敦さんに、迷惑をかけたくないからまた「大丈夫」と言う。

「休憩したくなったら遠慮なく言ってね」

なんでここまで声をかけてくれるんだろう。

敦さんはやっぱり優しい。

私、彼のこんな所が…

『……好き』

不意に言葉が口から出てしまった。

「えっ…?」

『……っ!』

しまった。

敦さんに聞こえたかも。私は必死に誤魔化す。

『あ、電車!電車見るの、好き、かもって…』

「ああ……」

そうなんだ、と敦さんは微笑みながら言った。


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