第10章 止められなかった
事件の被害者の人数が多くて、聞き込みをするのに凄く時間がかかった。
2時間くらいしたら、1回休むことになって近くの公園で休憩する。
「はい」
ベンチで座っていると、敦さんが飲み物をくれた。
『あっ、え、ありがとうこざいます』
「うん、リンゴ味で良かった?」
『はい、ありがとうございます....』
凄く嬉しい。
私は嬉しさを心の中に隠した。
敦さんにジュースを買ってもらえるなんて、どうしよう、とっとこうかな。
でも、せっかくくれたんだから飲もう。
手に力をいれて、キャップを回して1口飲む。
今日は天気が良いし、風もいい感じに吹いていて鳥もどこかで鳴いている。
私は空を見上げる。
雲はそんなになくて、快晴かも。
そう感じていると、敦さんが話した。
「東京に来たの初めてなんだ。ちゃんは来たことある?」
『わ、私も初めてです』
「そうなんだ、じゃあ一緒だね」
そう言って微笑む。
そんな些細な事が一緒でも嬉しく感じる。
10分くらいしたら、休憩をやめて聞き込みを再開した。