第10章 止められなかった
私は次の朝、迷った。
というより、焦ってるという言葉の方が正しいかもしれない。
昨日の夜に付けられた印をどうやって隠すか悩んでいた。
どうしても絶対に隠さないといけない理由がある。
今日は敦さんと一緒に行動するし、もし見られてしまったらどうしようと考えてしまう。
樹戸さんに隠す必要はない、って言われたけど絶対ある。
こんなの誰にも見せれない。
マフラーで隠そうと思ったけど、季節外れ。
『あ、スカーフ....』
マフラーじゃなくて、スカーフがあった。
すかさず、タンスからスカーフを取り出した。
使うのは与謝野先生から買ってもらった時以来。
もらった日には洗濯したから少しは気にならないけど、それから1ヶ月は過ぎた。
今から洗濯して乾かそうとしても時間が無い。
もう気にしないで、付けることにした。
普段は付けないのに、今日付けるのは不自然だけど仕方ない。