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【文スト】君の笑顔が見たいから【R18】

第10章 止められなかった



食材を二人分買っていた事に、寮に着いてから気づいた。

きっと食事はすませて帰るだろう、と思い自分の分を作った。

食べ終わる頃にはもう8時を過ぎていて、急いで食器を片付ける。

任せっきりだったな、そう思いながら洗う。

ドアが開く音がして、帰ってきたんだと分かった。

「ただいま」

気づいてないふりで、いつも通りにしようと決めた。

『…おかえり』

振り向いて、答える。

スーツのジャケットを脱いでハンガーに掛けてる。

前を向いて、止まっていた手を動かしてシンクを洗う。

『ご飯は?』

「済ませたよ」

私の予想通りに彼はご飯は済ませていた。

やっぱりあの女の人と何かあったんだ。

「明日も遅くなりそうだから──」

『遅く帰ってくるのが仕事なの?』

彼の言葉を遮って嫌味っぽく言った。

彼は気づいただろうか。

「なに、怒っているのかい?」

そう言って来た。

『……全然』

「はは、なんだか新婚の夫婦喧嘩してるみたいで嬉しいよ」

返ってきた返事は斜め上の予想外な意味わからないものだった。

『なに、言ってるの…』

「いやぁ、ちゃんは可愛いなと思って」

この人といると気が狂う。

これで何度目だろう。




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