第9章 1割のお礼
帰る際に、太宰が玄関先で言う。
「本当に送らなくても大丈夫かい?」
『.....はい』
の部屋は太宰の寮とすぐ近くだ。
送るほどでもないが、太宰は心配して送ろうとする。
『じゃあ....』
外に出てはぺこりと頭を下げて、ドアを閉めた。
自分の寮の部屋に入ると、どっと疲れが出た。
『はあ...』
疲れがひどくて、その場に座り込む。
樹戸がに気づいた。
「帰ってたんだね」
声をかけられたが、眉ひとつ動かさず頷いた。
「布団を敷いといたよ。ゆっくり休んで」
に遅くなったこと電話のことも何も聞かない。
きっと何があったか知っている。あれほど嬌声を電話越しに響かせていた。気づかないはずがない。
汗をかいていて風呂に入りたいが、睡魔には勝てなくてそのまま布団にもぐる。