第9章 1割のお礼
少しでも敦にお礼がしたい、そう思っている。
けど、探偵社に戻らないといけない。
『敦さん、探偵社戻らないと』
「あ、そ、そうだね!?」
中断して、は敦のズボンのチャックを上げた。
敦からはが冷静で落ち着いたように見えたが、自分から好きな人にするのは初めてですごく心臓の鼓動が早い。
は敦の後で歩いた。
探偵社までずっと沈黙だったので、距離が長く感じた。
は心の中でずっと失敗した、と落ち込んでいる。
もしかして嫌われたかも、と不安が募る。
帰ってからの仕事中も、なかなか仕事に手がつかなかった。
敦とも目が合わせれない。
けど、お詫びがあれだけじゃきっと足りないだろうと考える。
どうしたら喜んでもらえるのかな、と思いながら目を閉じる。
される方ばかりだから分からない。
敦さんのこともっとちゃんと知っていたらな、そう思うばかりでばかりである。